財産分与でもめないために|正しい分け方と注意点を行政書士が解説

 離婚にあたって、意外ともめやすいのが「財産分与」です。
 預貯金や不動産、保険、年金など、どこまでが分与の対象になるのか、どう分けるのが公平なのか、判断が難しい場合も多くあります。
 ここでは、財産分与の基本的な仕組みと、もめずにスムーズに進めるためのポイントを行政書士の視点からわかりやすく解説します。

財産分与とは?

 財産分与とは、結婚生活の中で夫婦が築いた共有財産を、離婚時に公平に分けることを言います。
 原則として「2分の1ずつ」に分けるのが一般的ですが、事情に応じて柔軟な対応も可能です。

対象となる主な財産

  1. 預貯金
  2. 不動産(土地・建物)
  3. 自動車
  4. 有価証券・株式
  5. 保険の解約返戻金
  6. 年金(厚生年金・共済年金)

対象外となる「特有財産」

 すべての財産が分与対象になるわけではありません。
 結婚前から持っていた財産や、相続・贈与で得た財産は「特有財産」として分与の対象外となることが原則です。
 例:妻が結婚前に貯めていた貯金/夫の親から相続した土地 など

 ただし、特有財産が夫婦共有の口座に移されたり、生活に使われていた場合は、争いになることもあります。

もめないための財産整理の手順

  1. 夫婦での財産一覧の作成(通帳や権利書を確認)
  2. 特有財産か共有財産かを分類
  3. 時価評価やローン残債の確認
  4. 分与方法を協議し、合意内容を文書にする
 可能であれば、第三者(専門家)を交えて整理するのがおすすめです。

公正証書や離婚協議書での記載方法

 口頭の合意だけでは後々のトラブルになりかねません。
 離婚協議書に財産分与の内容をしっかり記載し、公正証書化しておくことで、支払いの強制執行も可能になります。
例文:
 甲は乙に対し、財産分与として○○円を2025年5月末日までに一括で支払う。

 不動産やローンの名義変更についても記載が必要ですので注意が必要です。

財産分与と慰謝料・養育費の違いに注意

 以下は目的が異なるため、混同しないようにしましょう。
 財産分与:夫婦で築いた財産の清算
 慰謝料:精神的損害に対する賠償
 養育費:子どもの生活費の支援

 これらをひとまとめにせず、それぞれ分けて検討するのが基本です。

冷静な判断と専門家のサポートを

 財産分与は、お金の話であるだけに、感情的になりやすく、もめやすいポイントです。
 正確な財産の把握、公平な分け方、書面による記録が重要です。
 冷静に話し合える環境を整えることと、必要に応じて行政書士などの専門家に依頼することで、トラブルのない円満な離婚を目指しましょう。