離婚協議書とは?

 離婚協議書とは、夫婦が合意した離婚条件を文書にまとめたものです。
 主に財産分与、養育費、慰謝料、親権、面会交流などの取り決めを明文化し、将来的なトラブルを防ぐ役割を果たします。

離婚協議書を作成するメリット

✅ トラブル防止:口約束では後で意見が変わることがあるため、文書で残すことで紛争を防げます。
✅ 法的証拠として活用:離婚後、約束が守られない場合に証拠として利用できます。
✅ 公正証書化で強制執行可能:公正証書にすると、養育費や慰謝料が支払われない場合に強制執行が可能になります。

離婚協議書に記載すべき主な項目

離婚の合意(夫婦双方が離婚に合意したこと)
財産分与(不動産・預貯金・株式・ローンなど)
養育費(支払額、支払期間、支払方法)
慰謝料(支払額と支払方法)
親権・面会交流(子どもの親権者、面会の頻度など)
年金分割(年金の分割割合の合意)

離婚協議書を作成すべきケース

・財産分与や養育費を明確に決めておきたい場合
・離婚後のトラブルを避けたい場合
・夫婦のどちらかが約束を守るか不安な場合
・口約束では不安なので、証拠を残したい場合

離婚協議書の作成方法

1.夫婦で話し合い、合意内容を決める
2.行政書士などの専門家に相談する(無料相談可)
3.正式な離婚協議書を作成
4.双方が署名・押印し、保管する

離婚協議書作成の注意点

・書面に記載する内容はできるだけ具体的にする
・曖昧な表現を避ける(例:「できるだけ支払う」ではなく「毎月〇万円支払う」)
・違法な要求・行為は記載しない

専門家に依頼するメリット

・適切な文言で作成し、法的に有効な内容にできる
・将来のトラブルを防ぐためのアドバイスを受けられる

離婚協議書の作成をお考えの方へ

離婚後のトラブルを防ぐために、専門家に相談しながら離婚協議書を作成しませんか?

離婚協議書の内容

 離婚協議で決めるべき主な内容は以下の通りです。これらをしっかり話し合い、「離婚協議書」に記載しましょう。

・離婚の意思確認
・財産分与
・慰謝料
・子どもの親権者・監護権者の決定
・子どもの養育費
・子どもとの面会交流
・離婚後の氏の変更(戸籍筆頭者でない者のみ)
・離婚届の提出日と提出者

 これらを明確にすることで、後々のトラブルを防ぐことができます。

離婚の意思確認

 婚姻と同様、離婚も一方の意思だけでは成立しません。相手が同意しない場合、調停や裁判が必要になります。ただし、調停には強制力がなく、相手が納得しない場合は裁判に進むことが多いです。

 裁判で離婚が認められるには、離婚理由が民法の規定に該当する必要があります。主な離婚原因は以下の5つです

・配偶者の不貞行為
・配偶者が義務を果たさない場合
・配偶者の生死不明(3年以上)
・配偶者の強度の精神病で回復が見込めない場合
・その他婚姻を継続しがたい重大な理由

 特に「婚姻を継続しがたい重大な理由」が争点になることが多く、以下のケースでは離婚が認められる可能性が高いです

・暴力や虐待
・セックスレス、性行不能(ED)
・アルコール依存症
・浪費や借金
・宗教問題

 一方、性格の不一致は裁判で認められる可能性が低いため、話し合いを重ねて協議離婚を目指すことが一般的です。

財産分与

 離婚を決意したら、次に考えるべきは「財産分与」です。これは、婚姻中に築いた共有財産を公平に分配することを指します。

 共有財産とは名義に関係なく、婚姻中に夫婦で築いたすべての財産が対象です。たとえ夫名義の銀行口座にある給与であっても、共有財産として扱われます。

 基本的には財産を夫婦で半分ずつ分けますが、貢献度(寄与度)に応じて調整される場合もあります。たとえば、妻が家事をせず浪費ばかりして財産を減らした場合、単純に半分に分けるのは不公平と判断されることがあります。

慰謝料

 慰謝料とは、相手の行為によって受けた精神的苦痛に対する損害賠償です。離婚することで必ずもらえると思われがちですが、財産分与とは異なり、慰謝料は必ずしも請求できるものではありません。

子供の親権者

 親権者とは「子供を引き取る親」と考えがちですが、子供を引き取るだけでなく、いくつかの責任も伴います。

 親権は「財産管理権」と「身上監護権」に分けられます。財産管理権は子供名義の財産を管理する権利で、身上監護権は子供の日常的な世話や教育を行う権利です。子供と一緒に住むことは、この身上監護権に含まれます。

 身上監護権には、子供の住む場所を指定する「居所指定権」や、子供を叱ったり罰したりする「懲戒権」などが含まれます。

 民法では離婚後、共同親権を認めておらず、単独親権のみが認められています。離婚後はどちらかの親が親権を持つことになりますが、親権と監護権を別々に分担することも可能です。親権者は財産管理権を持ち、監護者は子供の世話や教育を担当します。

子供の養育費

 養育費とは、未成年の子供が生活するために必要な費用(衣食住、学費、教育費、娯楽費など)を指します。

 養育費の負担義務は、親権を持つかどうかに関係なく、両親が分担する義務です。養育費は、資力のある親が子供と同居する親に支払うもので、子供が資力のある親と同程度の暮らしをできることが目安となります。

 また、養育費は子供の権利であるため、親同士で「養育費を支払わない」と決めても無効です。

 養育費の支払い期間は一般的に「8歳から20歳」や「大学卒業まで」などですが、特に決まりはなく、子供の状況に応じて柔軟に決めることが重要です。例えば、大学に進学するか分からない場合は「18歳で再度協議する」といった取り決めも可能です。

 養育費の金額は、両親の収入、職業、子供の人数などで異なります。家庭裁判所はガイドラインを作成しているので、詳しくはお問い合わせください。

子供との面会交流

 親権を持たない親(子供と同居しない親)が子供に会うことを「面会交流」または「面接交渉」と言います。

 裁判所は、子供に悪影響を及ぼす特別な理由がない限り、面会交流を認めます。

 面会交流については、両親が以下の内容を事前に取り決めておく必要があります
・面会の頻度
・面会の時間
・子供の受け渡し方法
・特別な日の面会(誕生日、クリスマスなど)
・宿泊の有無
・メールや電話での連絡
・特別な行事への参加

 もし子供が面会を嫌がる場合、面会交流は行えません。面会交流は親の権利ですが、子供に強制できる権利ではないためです。

 ただし、同居親が「嫌がっている」と伝え続け、子供の意向が確認できない場合は、家庭裁判所に調停や審判を申し立てることができます。

 面会交流が認められた後も正当な理由なしに拒否される場合、履行勧告を求めることができます。ただし、履行勧告は強制力が弱く、制裁金が課されることもあるため、面会交流が難しくなる可能性もあります。

注意事項

 違法な合意事項は、離婚協議書に記載しても無効になります。以下のような取り決めは無効となるので注意しましょう

・面接交渉権の放棄
・親権者変更の申立てをしない
・子の養育費請求権の一切の拒否
・子が一定の年齢に達した後の親権者変更
・離婚後、婚姻中の姓を使用しない
・違法な高利率の延滞金利
・財産分与・慰謝料等の分割払いを20~30年とする

 例えば、「2度と子供に会わない代わりに養育費を請求しない」といった内容は、「面接交渉権の放棄」と「子の養育費請求権の一切の拒否」にあたり、違法な合意と見なされ無効となります。養育費は子供の権利であり、親が一方的に放棄することは許されません。

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