離婚協議書に慰謝料を盛り込むときの注意点|金額・支払い方法・公正証書の重要性
離婚に伴い、慰謝料の支払いを約束する場合、離婚協議書にその内容を正確に記載しておくことが大切です。
しかし、曖昧な表現や不備のある記載では、あとで「払ってくれない」「話が違う」といったトラブルに発展することも…。
ここでは、慰謝料を協議書に盛り込む際の重要な注意点を詳しく解説します。
慰謝料の「内容」と「理由」を明確にする
慰謝料には「精神的苦痛」に対する損害賠償という意味がありますが、その理由を明確にしておくことで、将来的な紛争のリスクを下げられます。
例:
夫の不貞行為により妻が精神的苦痛を被ったことに対し、夫は慰謝料として○○円を支払う。
このように「何に対する慰謝料か」を記載しておくと、後々の争いを防ぎやすくなります。
支払方法と期限を具体的に定める
慰謝料の支払いは、一括払いか分割払いかを明記し、支払期日や回数、振込口座なども記載します。
例:
一括払いの場合:「2025年4月30日までに、妻の指定口座に振込により支払う」
分割払いの場合:「2025年5月末より毎月末日限り、10万円ずつ、計10回に分けて支払う」
曖昧な表現(「できるだけ早く」など)は避けましょう。
未払い時の対処を明記する
慰謝料が支払われなかった場合の遅延損害金や一括請求権を盛り込むことで、実効性が高まります。
例:
1回でも支払いを怠った場合は、残額全額を直ちに一括で支払うものとする。
このように「期限の利益喪失条項」を入れることで、支払いが滞った場合にすぐ対応できます。
公正証書化しておくと安心
離婚協議書は公正証書にしておくことで、万が一慰謝料が支払われなかったとき、裁判を経ずに強制執行(差し押さえ)が可能になります。
公正証書にする際は、慰謝料条項に「強制執行認諾文言」を入れる必要があります。
例:
甲は本協議書に基づく金銭の支払について、直ちに強制執行を受けても異議がないことを認める。
この文言がないと、せっかく公正証書にしても効力が弱まってしまいます。
そもそも慰謝料が発生するか確認を
慰謝料は必ず支払われるものではありません。
不貞行為やDVがあっても、証拠が不十分な場合は請求が難しいこともあります。
協議の中で合意できれば慰謝料を盛り込めますが、納得できない場合は調停や裁判を検討する必要があります。
慰謝料条項は慎重に、専門家の確認を
離婚協議書に慰謝料を盛り込む際は、
・理由と金額の明記
・支払方法・期限の具体化
・未払い時の対応の記載
・公正証書化の検討
などをしっかり確認しておきましょう。
行政書士による離婚協議書の作成サポートを活用することで、より安心・確実に進めることが可能です。